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加藤 正人; 豊島 光男; 飯村 直人; 上村 勝一郎
PNC TN8410 97-065, 147 Pages, 1997/03
水炉用MOX燃料の高燃焼度化を達成する方策として有効な,ガドリニア添加MOX燃料の照射挙動及び健全性評価を目的に、ノルウェーのハルデン炉で行う照射試験用燃料として中空ペレットスタックの中空部にガドリニア棒を挿入したDuprexタイプ燃料を含む24本の燃料要素を製造した。本報告書では、照射試験燃料製造の過程で得られた種々の知見について、ガドリニア棒の開発、燃料ペレットの製造及び燃料要素の加工の各段階に分けてまとめた。1. ガドリニア棒の開発バーナブルポイズン量を同一に保ちながら、セラミック棒の強度を保持するためGd2O3棒以外に、希釈材を添加した太径の棒も開発することにした。そのため、希釈材としてZrO2を採用した。Gd0.405Zr0.595Oy、Gd0.5Zr0.5Oyの試料を製作し、融点、熱安定性等の測定を行った。融点はそれぞれ、2510及び2360を得、Gd0.405Zr0.595Oyは蛍石型構造が安定で、1700まで形状変化がなく、Gd0.5Zr0.5Oyはパイロクロア構造が現れることを確認した。また、照射材料としてGd0.405Zr0.595Oy及びGd2O3の細径長尺棒を押し出し成形で製作し、1700まで形状が変化しないことを確認し、照射材料として十分に供与できることを確認した。2. 燃料ペレットの製造(1) 使用する原料粉末の焼結特性を把握し、対策を施す(本試験においては、使用するPuO2粉末を粉砕することにより焼結性を向上させ、一方の天然UO2粉末は、800で熱処理することにより焼結性を抑制し両者の焼結時の収縮特性を合わせた。)ことによりペレット密度約95%TDを得ることが出来た。(2) ウイズドロアル式プレス機での成形時の上下圧バランスの状態を、上パンチ停止後にダイ停止させることにより、焼結後のペレット形状が台形になるのを防ぐのに適切な条件であることを見い出した。3. 燃料要素の加工ガドリニア棒入り燃料要素の製造は、半自動で行ったことから特に問題は発生しなかった。しかし、今後、大量生産を可能にするためには、自動化は不可欠である。そのため、設計段階での工夫が必要である。特に、ガドリニア棒径と中空ペレットの内径の差は、自動化レベルとの兼ね合いで最適化を図る必要がある。
上村 勝一郎; 河野 秀作; 矢野 総一郎; 加藤 正人; 森平 正之; 森本 恭一; 菊池 圭一
PNC TN8410 97-038, 447 Pages, 1997/03
ハルデン炉において、ATR実証炉燃料の負荷追従照射試験(IFA-554/555)を実施した。照射後試験のうち、すでに非破壊試験については全7本を、破壊試験については2本(IFA-554ロッド5及びIFA-555ロッド1)について結果を取りまとめた(既報第46報)。本報告では、残る5本(IFA-554ロッド1,2,3,4,6)の破壊試験結果について解析・評価するとともに、全7本の照射後試験結果について最終報告書として取りまとめた。得られた結果は、以下の5点である。(1)被覆管の軸方向の微小塑性変形の蓄積による燃料棒伸び量の増加及び燃料温度の周期的変化によるFPガス放出率の顕著な増加が見られなかった点から、負荷追従運転は定常運転に比して燃料挙動に顕著な影響を与えなかったと考えられる。(2)破損した燃料棒のうち2本の燃料棒(IFA-554-1及びIFA-555-1)は、使用した被覆管が腐食感受性が高いこと及び他の燃料棒に比べて高い線出力を経験していることから、異常な酸化により燃料破損したと推察した。(3)破損した燃料棒のうちIFA-554-5については、燃料初期に温度計装が断線した際、シール部からの水分混入による水素化、あるいは、製造時に被覆管内に残留した水素あるいは水分による被覆管内面からの水素化により破損したものと推察した。(4)上部クラスターのIFA-554-4,5,6の下部Zry-2ディスク充填部で被覆管に膨れ変形が生じたが、上記(3)と同様の原因によりZry-2ディスクが水素化したためと推察した。(5)被覆管内部の水素化の原因として、加圧溶接部の溶け込み深さの検査基準が明確でなかったことから、この部分から水分が混入したとも考えられたが、断面金相試験からリークのなかったことを確認した。
上村 勝一郎; 矢野 総一郎
PNC TN8410 97-066, 300 Pages, 1997/02
新型転換炉(ATR)実証炉燃料の開発の一環として、実証炉用MOX燃料の標準燃料及び改良型燃料(Zrライナー付き被覆管)について破損限界及び出力過渡変化時の照射挙動を調べることを目的として、ハルデン炉においてATR実証炉仕様燃料の出力急昇試験(IFA-591)を実施した。この出力急昇試験後の燃料について、非破壊の照射後試験を実施し、その結果を解析・評価した。得られた結果は、以下の5点である。(1)外観観察からは、異常な傷、クラック、変形等は認められず、被覆管が健全であることを確認した。なお、出力急昇試験を通じて一部の被覆管表面の酸化が進行した。(2)プロフィロメトリの結果、燃料ロッドには特に異常は観察されなかった。なお、各燃料ロッドに平均で0.10.4%の外径増加があった。(3)渦電流探傷の結果、被覆管には異常な信号変化は認められず、健全であることを確認した。確認された信号の乱れや変化は、スペーサー部の酸化膜、端栓等の構成部材によるものであることを確認し、特にペレット高さに対応した周期的な変動は、ペレットリッジ部でのPCMIによるものと推定した。(4)スキャニングの結果、特異な事象は観察されなかった。軸方向の燃焼度分布について、ほぼ一定であるか、軸方向上部に向かって低下することを確認した。また、Csがランプ試験を通じて、ペレットから放出され、ペレット界面へ移動したことが観察された。(5)中性子ラジオグラフィの結果、11本中8本の燃料ロッドについて、最上段ペレットの上面にペレットの破砕が観察されたが、これ以外には燃料スタック及び被覆管とも異常は観察されなかった。また、これらの結果をもとに引き続き予定されている破壊試験について、サンプルの設定根拠をまとめた。
飯村 直人; 小幡 真一; 野上 嘉能; 豊島 光男; 関 正之; 深川 節男; 大内 隆雄
PNC TN8410 96-198, 235 Pages, 1996/06
水炉用MOX燃料の高燃焼度化(燃焼初期の出力ピーク低減及び燃焼中の出力変化低減)を達成する方策として有効な、ガドリニア添加MOX燃料の照射挙動及び健全性評価を目的に、ノルウェーのハルデン炉で行う照射試験用燃料要素24本を製造した。製造した燃料要素はMOX及びUO2燃料であり、MOX燃料要素20本は、中空ペレットスタックの中空部にガドリニア棒を挿入したDuplexタイプ燃料(8本)、燃料中心温度測定を行うための計装を取り付けた中空ペレットタイプ燃料(7本)及び中実ペレットタイプ燃料(5本)である。また、UO2燃料要素4本は、全て中空ペレットスタックの中空部にガドリニア棒を挿入したDuplexタイプ燃料である。その他の燃料仕様パラメータにはペレット・被覆管ギャップ幅(=ペレット・外径3水準)、ガドリニア棒の組成及び外径(=中空ペレット内径・2水準)がある。尚、燃料ペレットの形状は、中空ペレットはチャンファ付、中実ペレットはディシュ・チンファ付である。各燃料要素の上部プレナム部には、プレナムスプリングが配されており、各種の計装付き端栓を取り付けた後に5kg/cm2・aの圧力でヘリウムを封入し、溶接密封した構造となっている。本報告書は、製造時及び品質検査時の詳細なデータ(サーベランスデータ)を収録したものである。
ハルデン共同研究合同運営委員会
JAERI-Tech 94-021, 79 Pages, 1994/09
原研は、1967年以降ハルデン原子炉計画に加盟し、国内諸機関との間で共同研究を実施している。本報告書は1991-93年(第9期加盟)の3ヶ年間に実施された8件の共同研究の成果をとりまとめたものである。具体的内容は、軽水炉用MOX燃料の照射、ATR燃料の負荷追従、軽水炉燃料挙動解析、新型燃料の照射挙動、MOX燃料の照射特性、KWU&B&W型燃料の照射挙動、GdO入り燃料と改良燃料の照射挙動及びガンマサーモメーターの照射特性についてである。当該期間に1件を除き、研究を終了し、MOX燃料に関する知見、ATR燃料に関する知見、新型及び改良燃料に関する知見、解析コード開発と検証、燃料ペレットの熱拡散率のデータ取得、サーモメータの活用に関する知見等の成果を得た。
ハルデン共同研究合同運営委員会
JAERI-M 92-155, 42 Pages, 1992/10
原研は、1967年以降ハルデン原子炉計画に加盟し、国内諸機関との間で共同研究を実施している。本報告書は1988-90年(第8期加盟)の3ヶ年に実施された燃料照射に関する7件の共同研究をとりまとめたものである。具体的内容は、軽水炉用MOX燃料の照射、ATR燃料の負荷追従、軽水炉燃料挙動解析、新型燃料の照射挙動、MOX燃料の照射特性、KWU&B&W型燃料の照射挙動、GdO入り燃料と改良燃料の照射挙動である。当該期間には、研究が完了したものはないが、MOX燃料に関する知見、ATR燃料に関する知見、解析コードの検証等につき重要な成果が得られている。
中村 仁一; 池田 弘章*; 古田 照夫; 森 一麻*
JAERI-M 91-027, 36 Pages, 1991/03
PWR版FEMAXI-IIIコードを用いて、ハルデン炉で行った軽水炉燃料出力急昇試験についての検討を行った。照射実験データによるコードの検証を行い、クリープダウン、燃料棒直径変化、リッジ高さについては、計算値は実測値と良い一致を示し、PWR版FEMAXI-IIIコードが、PWR型燃料棒の挙動解析に十分な性能を持つことが示された。また、このコードを用いてペレット形状の効果及び燃焼度の効果を明らかにした。一方、試験炉による出力急昇試験条件の違いについても検討を行い、炉型及び燃料仕様による出力急昇時の燃料挙動への影響を調べた。その結果、商用PWR条件及びハルデン炉条件でそれぞれ出力急昇試験を行った場合、燃料中心温度及び被覆管最大応力は、ハルデン炉軽水炉ループ内で照射した場合より、やや大きくなることが明らかになった。
尾熊 律雄
Journal of Nuclear Science and Technology, 17(9), p.677 - 686, 1980/00
被引用回数:9 パーセンタイル:68.31(Nuclear Science & Technology)ハルデン炉(HBWR)では、約9.5MWt以上の出力レベルで0.04Hzの同期を持つ出力共鳴振動現象が見られる。この共鳴振動は、原子炉の運転上支障をきたすほど大きなものではないがその特性を把握し変動を引起している原因を明かにしておくことは原子炉診断という観点から重要である。この共鳴振動の駆動源を明らかにするためにAR法及びスペクトル,相関解析手法を用いた雑音解析が行われた。その結果本現象は原子炉に対して並列結合した2つの熱交換器の間で起っている熱交間プロセスの動的な干渉効果によるものであることが示された。本解析を通じてここで用いた解析手法がシステム内の変量の変動を引起している、いわゆる雑音源を決定する上で有効であることが示されると同時に原子炉雑音解析および診断の種々の問題に適用可能であることが示された。